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幕間
昔々のお話です。
まだここがただの野原で、狐も小さな子狐だった頃。狐は死にかけておりました。
狐は産まれた子の中で、一等小さく弱かったのです。気づいたときには親も兄弟も、周りには誰もおりません。それでもか細く生きてみましたが、死は大きな歩幅で近づいて、小さな狐を抱こうとしました。
寒くて辛くておなかがすいて、いっそこのまま果ててしまおうかと、黒いまあるい目を閉じました。
そんな子狐を抱いたのは、死でも親でもなんでもない、ただの1人の人の子でした。
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