4話

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4話

自宅療養になった兄貴は自宅に帰る事になって何故か駄々をこねた。何でもむさ苦しい男の中に居るのが耐えられないのだとか、、、 「お前も十分にむさ苦しい顔してるぞ。もちろん、お前も入ってるよな?」と言った事でクソジジイにどつかれたのは記憶に新しい。巫山戯るな、、、あっちも殴れよ!と睨み付けたがどこ吹く風状態で放置だった。 兄貴の性生活に興味はないが、、、 当たり前だが伴侶は女性で組長の女に相応しい人を娶るのが基本。子どもを作るのはその女性とだけであり、ただ欲を満たす為だけの行為は男で済ますというのがこの家の暗黙の了解である。その事実を知った時、この兄貴擬きはどうするのか、、、考えただけでも頭が痛くなる。まぁ、俺は敢えて言わないが、、、 取り敢えず、兄貴の自室に兄貴擬きを押し込み俺は学校へ向かった。昨日の午後からのノートの事を思うと何とも言えない、、、 場所は変わって学校へ来た。登校したとも言う。 いつも通りボッチで窓際の席に座っている。この分だと普段通り昼もどうせボッチ飯だろう。と内心溜め息をつきつつ窓の外を眺めていると机の前に人影が立った。 目線だけを寄越すと田中だ。 昨日、気絶させてしまった田中だ。 身体は可哀想なくらいガチガチに緊張して手はかなり震えている。 こちらから声を掛けても良いのだろうかと完全に田中の方へ向き直り戸惑っていると後ろ手に持っていた何かを俺の眼前につき出してきた。手に持っていたのはプリントで震えている手で持っているせいかカサカサと音を立てている。 「これは?」と言いつつ受けとると目線を外した田中が午後からのノートをコピーしたヤツだと教えてくれた。思わず立ち上がり詰め寄ってしまった 「何だと!お前は神か!助かった!」と感動していると顔を真っ赤にして照れ臭そうに俺の肩を弱い力で押し返し「昨日は保健室へ運んでくれてありがとう。」と言ったあと小さな声で「僕は神じゃない田中だ。」と言って去ってしまった、、、 どうやら声に出ていたらしいがクラスメートは去った田中の周りに然り気無く集まり「何を言われたんだ。」「大丈夫か!?」などと言っているので田中にしか聞こえていなかったようだ。危ない危ない。気を付けないと、、、 取り敢えず、席に座り直し早速ノートのコピーを見つつ写す事にした。 田中!お前が困った時は俺が助けてやるからな!と決意を新たに朝から少しテンションが上がったのは仕方ないことだと思う。 *
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