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僕と私の文通相手
そうだ。手紙を書こう!名前も知らない彼女に。日頃の感謝を伝える為に……。
智也は仕事を終えクタクタになっていたが"思い立ったが吉日"とばかりにいつもは通りすぎるだけの、たまたま目についた文具店に足を向ける。
***
大学へ進学する際に智也が上京してきたのが今より6年前。当時は学生寮に住んでいたが卒業してしまえば学生寮にいるわけにもいかず自分で部屋を借りて住んでいたが、転勤となり、今のアパートへ引っ越したのが半年前。
公共機関に恵まれ、買い物にも不自由なく職場から割りと近く、なんといっても家賃も格安。
……が、そういった物件にありがちな事、……出るのだ。出るといっても勿論Gではない。女だ。髪の長い女。
智也の部屋は所謂……事故物件だ。
予め不動産屋にそう告げられていたが自分には霊感などないとたかをくくって即決したのを後悔したのが転居して1週間後。
始めこそ視えてしまった彼女にびびってしまったが、住めば都。いつだって甲斐甲斐しく世話をやいてくれる同居人(?)を智也が有り難く感じるようになったのは転居して一月半程たった頃だ。
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