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第4章
ある満月の晩、5人の小人たちはある「森」の中で野宿をしていました。
樹々の隙間から覗く満月が、異様に白く感じます。
すると、樹々が風に揺れてざわめき始めます。
しだいに枝や葉が、突風に揺れるようにゴーと鳴りました。
ひとりの小人が気づきます。
おかしいぞ
こんな音は聞いたことがない
「森」がゴーと泣いている
………
あの姉妹に何かあったのでは?
ふたりは故郷のある東北へと向かったがのう
………
おれたちも東北へ行こう
「森」が呼んでいる
さっそく東北地方へと向かって、山道を歩き続けて何日か過ぎた頃、道端の草叢で横倒れになっている小人がいました。
足をくじいたのか、もう歩く力もなく虚ろな目をしています。
大丈夫か?
………
どうやら横倒れの小人も、同じ境遇で旅をしているようです。
しかもまだとても若く、普通ならまだ高校に通うぐらいの年齢でしょう。
顔を歪め苦しそうに息をしています、熱があり病にかかっています。
わずかに声を、絞り出しました。
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