読まずに食べた手紙

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 私が小学三年のときの担任の先生は、ひょうきんで怒るとこわくてちょっと変わった男の先生だった。  小学校では低学年のころから教室にB5版の原稿用紙が大量に置かれていて、ことあるごとに作文を書かされた。  三年生の道徳の授業。  とある童謡を歌いながら、その先生は原稿用紙を配る。  そして、 「先生がみんなに手紙を書きました。みんなは読まずに食べました」  と言う。  笑いが起こる中、先生は言葉を続けた。 「先生がみんなひとりひとりに書いた手紙にはなにが書いてあったでしょう。想像して書いてください」  変わった先生だったので、またひねくれた問題を出すなぁと思った。  私は一生懸命想像して、原稿用紙に文章をつづった。
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