大幹部ブリザードの災難

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大幹部ブリザードの災難

 ◆ 「ブリザード! 私のもとにすぐに来い!」  サタン・サタニアス総統閣下(そうとうかっか)怒号(どごう)。  理由は解っている。  だからこそ、私はすぐさま閣下のもとで(こうべ)()れ、(ひざまず)く。 「顔を上げろ。ブリザード」 「は」  私の目に、サタン閣下の姿が映る。  端麗(たんれい)な顔立ち、深紅(しんく)の瞳、漆黒(しっこく)の髪、禍々(まがまが)しくも美しい角。  玉座に座り足を組むその佇まいは、怒気(どき)(まと)った言葉とは裏腹に、冷静であり冷徹であった。 「これが私の書斎のデスクに、どうして置いてあったのか説明してもらおう」  サタン閣下の右手には、悪魔のカリスマにとって、あまりにも不釣り合いなピンク色の封筒が握られていた。 「はい。大変恐縮ではございますが、それを説明するにあたり、長くなってしまいますが宜しいでしょうか」 「構わん。話せ」
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