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……階段で手を握ってくるなんて、どういうつもりなんだろう。 握られた手に自分で触れてみるけれどなぜだか嫌な感覚はなくて、じわりと手の温もりが伝わってくるようだった。 そんな風にも思えるのは、(てのひら)にやさしく包み込むようにも握られて、悪意などの類いが何も感じられなかったからかもしれない……。 「だけど……誰だったんだろう? あの人」 自分の手をぼんやりとさすりながら、帰宅のための電車に乗り込んだ──。
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