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──二度目は、会社に向かう歩道橋の上で仕掛けられた。 会社に行くには踏切を渡らなければならず、でもそこは有名な開かずの踏切のため、日頃から近くに架かる歩道橋を歩くことは多かった。 その歩道橋を歩いていると、バッグを掛けている肩が後ろから不意にぐいと引かれた。 「え…誰?」 咄嗟に振り向くと、またしても歩き過ぎていくスーツの背中が見えた。 偶然などではなく、わざと肩を引いたようにしか思えなくて、 「……誰なの、一体?」 と、目で後を追いかけた。 けれど視界の背中はまたすぐに歩き去ってしまい、どこかで見たような気はするのに、やっぱり誰なのかはわからないままだった……。
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