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西成は山崎とともに、閑散とした屋上に足を運んだ。
西の空では沈みゆく太陽が浮かぶ雲の辺縁を煌めかせ、鮮やかな夕暮れの一幕を演出していた。西成はそっと山崎に尋ねる。
「山崎先生は彼女にこの夕暮れを見せてあげたかったんですね」
「……はい」
それは彼女の手紙に書かれていたことだ。
「山崎先生にお願いがあるんです。華さんの手紙を読み直してもいいですか」
その西成の問いにいささか困惑した山崎であったが、いわれた通り手にしている封筒を開き手紙を渡す。手紙の内容はこうだった。
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