ミルクティー

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ミルクティー

君、僕のこと嫌いでしょ?出会ったばかりの頃、そう聞かれました。覚えてますか、先生。 なんと答えたかもう覚えていませんが、きっと周りに興味がなかった私は冷めた目で先生を見ていたんだと思います。 君なら出来る、大丈夫。そう言って真っ直ぐ私を見て笑ってくれました。覚えていますか? この頃の私は、先生と会える日が楽しみで大嫌いな数学も好きになっていました。 これ好きでしょ?先生はいつも甘ったるいミルクティーを買ってきてくれました。覚えてますか? この頃の私は、子ども扱いされているようで少しショックを受けながらミルクティーを赤い顔で飲んでいました。 全部俺のせいだ、ごめん。テストで11点を取った時、先生はうなだれてこう言いました。覚えてますか? この頃の私は最悪なテストの点数よりも、私の前だけ一人称を変える先生に胸を高鳴らせていました。 俺、結婚するんだ。高校を卒業する時、先生は嬉しそうな顔でそう言いました。覚えていますか? この時、私の初恋は終わりました。セーラー服の胸ポケットにはたった2行の手紙が渡せなかったあの日のまま眠っています。 私、先生のことが好きでした。 ずっと好きでした。
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