1週間後

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1週間後

 それから1週間後、あの手紙を書いてからも同じような日々を過ごしていた僕の元へ、1通の手紙が届いた。  ん、誰からだろう。…宛名は―無い。…住所は―あった、あれこの住所。その住所は1週間前、僕自身が書いた架空の手紙の架空の宛先住所だった。えっ?!僕は一瞬、宛先不明で郵便局から戻ってきたのかと思った。でも違う。表面に僕の名前と住所、差出人が書く方に例の架空の住所が書かれている。…一体どういうことだろう。少し奇妙な気持ちになりながら、僕はその手紙の封を切って中身を取り出した。 相田広介 様  こんにちは。お手紙有難う御座います。私の住所宛にあなたからお手紙がありました。いきなりでしたので少しびっくりしましたが、お宛名がなかったものの住所がちょうど私の所に一致していたこと、そしてご丁寧な文面を拝見しせっかくなのでお返事を書かせて頂こうと思いました。まずは改めてお手紙有難う御座います。…― ―そんな手紙を受け取り始めてから、僕と誰かの不思議な文通が始まった。
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