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文通
僕と誰かの文通が始まってからというもの、僕はその誰かにいろんなことを書いた。趣味の話では映画の話で意気投合した、その「誰か」さんも映画をよく観るらしく、好きな映画の幾つかは僕も気に入っている80年代の作品であった。僕は何だか楽しくなっていた。こんな気の合う人は物凄く久しぶりだ。趣味の話で盛り上がることなんて下手したらここ1年間あっただろうか。映画以外の趣味や日課、ストレス発散方法など本当に色々書きあった。そんな文通が3ヶ月ほど続くうちに悩み事を打ち明けるようにもなっていた。
―どうして僕はこんなに何をやっても駄目なんだろうか―
誰かさんは励ましてくれた。
―本当に自分に自信が持てない。いっつもネガティブに考えてしまう。本当に悪い癖、自分がもう嫌になる―
誰かさんはやっぱり励ましてくれる。それも上辺だけの励ましでは無い感じ、本当に真摯に話を聴いてくれているように感じた。
―自信が持てないのに持てって言われてもね。ネガティブに考えてしまうのにポジティブに考えろって言われてもね。でもきっと大丈夫。無理にすぐそうしなくても、少しずつそうなれたら良いなって、そう思えたら気が楽になるだろうし、結果的にそうなれたら良いんじゃないかなあ?―
ほっとした。誰かさんの言葉で少し安心する自分がいた。何だか少しずつ自分に自信を持てる自分がいるような気もした。
よし感謝の気持ちも込めて今日もお返事を書こう。そう思って机に向かうのであった。
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