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この手紙は私の母に宛てて書かれたものです。けれど母はもうとっくに亡くなっていて、これは私に託されました。私はあの人を想っています。その意味はご自由にお考え下さい。それはきっと私には関係のないことなので。 私は母に勝てなかったのです。いいえ、同じ土俵に立つことすら許されていないのです。この手紙の封筒は捨てました。そこには宛名があったので。そこだけが私のものではないという証明だったので。それでも、そこまでしてもその事実を忘れることはできないのです。私はそれを知ってしまったので。
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