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初めての相方
フレンドチャットという個別のチャットでキャットさんと話をした。
私より年下らしいが、話していてとても楽しい人だった。
話が終わると、彼はこう言った。
「…どうです?
キャットさんと相方になってみませんか?」
その時の私は、「相方」というものをよくわかっていなかった。
よくわからないけれど、面白い人だったのでOKしてみた。
今思うと、これが地獄の始まりだったかもしれない。
仲良くなれそうな人ができて嬉しくなった私は、その日は早めにログアウトした。
「しかし、相方ってなんだろうな~。
一緒に遊ぶ人って認識でいいのかな?」
スマホで検索してみる。
「モンクエ11…相方…っと。
おー、でたでた。」
MQ11でいう相方とは、恋人のような関係を意味する。
「こ、恋人?!」
私はドキッとしてしまった。
まさか、キャットさんがそんな関係を望んでいるとは…!
…い、意識してしまう…。
キャットさんと相方になってからは、キャットさんとストーリーを進めるようになっていった。
金策もキャットさんに教えてもらい、お金を貯めて性能のいい装備を揃えた。
恋人というよりは、普通より少し親しいフレンドさんといった感じだった。
仲良くなった私達は電話番号を交換した。
キャットさんの本名は優(ゆう)というらしい。
私は優くんと呼ぶことにした。
この頃から、少しずつイチャイチャするようになっていった。
だが、幸せは長くは続かなかった。
優くんが他の人と遊ぶようになり、放置される日が続いたのだ。
私は、寂しくなった。
人が多い町で、ぼーっとする日に戻ってしまった。
他の人と遊んでばかりで、遊んでもらえない。
寂しさばかりが募るので、優くんとは別れることにした。
ゲームの世界で優くんに手紙を書き、この関係を終えた。
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