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意図しない告白から一ヶ月以上経った、十二月の初頭だった。
「至くん、結婚やめたらしいよ」
悲報は夕餉の時間に父からもたらされたが、吉報を伝えてくれたのは午後五時の台所にいる母だった。
小鞠の母は買い物をしていたスーパーで至の母親と会い、そこでの立ち話で
至の破談が話題に上がったのだという。
「辻橋さん、しっかりした感じの女性で気に入ってたのにって、残念がってた」
その後も母は何やら話していたが、小鞠にはぼんやりと遠くで聞こえている話のように感じられ、あまり頭に入ってこなかった。ただ、その間に小鞠の胸には希望の灯りがじわじわと広がっていた。
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