同志

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「お前は嘲笑されたというが、偶々笑顔で通り掛かった河田さんに被害妄想でも起こしたんじゃないのか」  果たせる哉、比呂志はもう仕事はしなくても良いと工場長に言われ、事務所に連れて行かれ、電話のやり取りで人材仲買人に問答無用と解雇を言い渡され、その後、仕事中の道官さんに迷惑が掛からないようにその旨と別れを手短に告げてからロッカールームで人間に対し途轍もなく失望感と虚無感を抱きつつ職場を去るべく独り所有物を纏めていると、職場を抜け出してやって来た託ち顔の道官さんに、「兄ちゃん(比呂志の事)が辞めるなら俺達も辞めるよ!」と流暢な日本語で律儀な言葉を告げられた。  その途端、何て義理堅いんだ!と比呂志は感動し、熱くなって本気でブラジルでも何処でも道官さんに付いて行きたい!と思った。が、待てよ、まだブラジルに帰る訳にはいかないかと気づき、「じゃあ、これからどうするわけ?」
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