同志

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 話の序でに道官さんについてしたためてみる。歳は比呂志より三つ下で背は180センチある比呂志より10センチ程、低いものの体格は中肉の比呂志より大分、骨太で小太りで如何にも頑丈そうな身体つきで顔も痘痕まるけの厳つい面構えをしていて容貌魁偉といった風体であった。そして煙草を吹かす姿がニヒルな映画スター宛らの風情を醸し出しているのが印象的で実に渋くて様になっていて堂に入っていた。もし、南アメリカ大陸に住む人が日本人には無い大陸的な性格の持ち主であるとすれば、この人こそ、それに相当する人物と言える風格、そして比呂志に歩み寄る位だから中身より上辺の明るさを重視する今時の軽薄な日本人には無い洞察力と義侠心を併せ持ち、それ故、常にニヒルな雰囲気を漂わせていた。
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