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冬の始まり①
あれから10年も経つのか‥
真木村はふとそんなことを考えながら、電子バイクのスイッチを止めて降り立った。
今日は朝からここ日本時空光学研究所へ赴くことになっていた。
災厄後海西シティーに移転した研究所は第12街区にある。
緑の木々におおわれた静かな所だ。
郊外に面した建物はとても科学施設にはみえず、まるで図書館か博物館かのように見えた。
真木村は建物の裏側にまわる。
厳重な取締りがなされてて入口は一ヶ所である。警備員のボディーチェックをうけ、入所許可証をみせる。
警備員が連絡したのか、すぐに一人の所員が駆けつけた。
「真木村捜査官でしたか。お務めご苦労様です。所長が応接間でお待ちです。」
所員は真木村の前に立ち、案内する。
「真木村捜査官は所長とは御面識はあるのでしょうか?」
「所長は存じてます。でもなかなかお互いの仕事が忙しいので会うことはないですね。」
真木村はプライベートではたまに会っていたが、ここではそんな余計なことは喋らないほうがいいと思い、適当にかわした。
一階の奥の部屋に通されてソファーに腰掛けた。
「すぐに来ますので、お待ち下さい」
所員はそういって部屋を出た。
しばらくしてノックの音がして、一人の人物が入って来た。
「初めまして、真木村捜査官。」
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