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冬の始まり④
夕子の務める捜査管理局は海西シティーの中枢部、A街区一番地にある。
そして今彼女はビルに入り、所属する捜査第三課へと向かっていた。
夕子は昨日絵里が話してたジャックスミスのことが気にかかってた。
彼は大災厄ビッグウォールにどう関係してるのか?自然災害ではないのか?
それより東日本を壊滅させ、危険区域にするほどの災害自体も信じられなかったのだ。
突如電子ホーンが鳴る。
「真木村君、わたしだ。今局にいるかね?すまないが5階の課長室まで上がってきてくれるか。」
‥霧島課長か、なんだろう。緊急そうな用件みたい。‥
捜査管理局へ務めるさい夕子は美杉の苗字を旧姓の真木村に戻した。
夕子が幼き頃、かって中央シティーに設立された日本時空光学研究所の創立記念パーティーで爆破テロが起き、父親の真木村新一が亡くなったことを母親の和美から聞かれされていた。
なので美杉家でありながらもずっと自身は真木村だと思っていたし、中央シティー以降の東日本が全滅した今1人で生きていくことの覚悟もあった。
課長室のドアをノックして入る。
霧島課長はデスクに座っていたが、夕子は西側にある応接椅子に座っているもう一人の人物に目が届く。
霧島課長は待に詫びたかのように声をかける。
「真木村君、見ての通りだ。極秘任務を君にお願いしたい。腰掛けてくれるか。」
「はい!」
柚木局長‥海西シティーの捜査管理局を統率する責任者。そのずば抜けた頭脳と強靭な体力はトップ自ら動き様々な事件を解決してきた。
五十代前半と聞くが若々しい印象が夕子にはある。
「この任務は今のところわたしと局長以外誰も知らない。我々はこの任務を遂行出来るのはきみしかいないと判断した。引き受けてくれるか?」
霧島が真剣な眼差しで見つめる。
「わたしは一捜査官です。ご命令に従います。」
柚木局長もソファーに座り、テーブルに一枚の写真を出す。
「まずこの写真を見てほしい。」
「‥‥」
夕子は思わず声を上げそうになった。
その写真は昨日、絵里から見せられたジャックスミスの写真であった。
」
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