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冬の嵐②
海西ポート、ここは海西シティーの中心となる空港だ。
夜零時前、人の気配は全くない。
夕子は電子バイクを空港エリア3Aに停める。
10号倉庫の地下3階に作戦会議室がある。
ここには事前にもらう入室許可証がないと部屋に入ることが不可能なシステムになっている。
夕子が部屋に入ると既に作戦メンバーは集まっていた。
部屋の照明は薄暗いがはっきりと顔は見える。
「おっと、やっと指揮官様のお出ましか」
左頬にある大きな傷のある五十代くらいの中年男が答えた。
そのあと机でパソコンを打ってる眼鏡をかけ、いかにもオタク風な30代前半くらいの男は無言で頭を下げた。
霧島課長が前面に立ちメンバーに挨拶をする。
「わたしが今回の潜入計画の責任者、捜査管理局の霧島だ。捜査管理局長の代行者と心得てほしい。」
「霧さん、おれ一人で十分だからさっさと作戦を説明してくれ。」
先程の中年男、この男なかなか曲者かもしれないと夕子は感じた。
「上さん、ちょっと待ってくれ。スタンドプレイは困る。相手の組織を殲滅させるには俺たちだけでは難しい。とりあえず奴らの全容をまず掴むんだ。」
「わかった、わかった。あんた責任者だから逆らえないよ。」
「じゃあみんな自己紹介してくれるか?」
霧島は中年男の方を見た。
「捜査警護局の上願啓介だ。霧島さんとは同期だ。まあおれの方は出世レースからの落ちこぼれだけどな。仕事は主に凶悪犯専門にやってきた。もちろん中央シティーや天王シティーで手がけた事件もある。よろしくな。」
霧島は続ける。
「次は捜査情報局の折口正君、彼はIQ200の天才的頭脳の男だ。犯罪情報についてはピカイチだよ。」
パソコンのキーを叩いていたオタク男が立ち上がり、無言で頭を下げる。
また変わりものかと夕子はため息をついた。
「そして今ヘリのほうに行ってるが捜査管理局の新米、中野良平、彼はまだ大学出立てだが、運転技術は高い、車から船舶まで完璧だ。」
藤島はボードに後輩の中野の写真を貼り付けた。
「そして指揮官として、真木村夕子捜査官、世界でもランクインするスナイパー、彼女は数々の犯罪事件を解決し、みんなももうご存知だろう。」
藤島が目で合図する。
「真木村です。皆さんよろしくお願いします。」
夕子は改めて挨拶をした。
「おっともう一つ、日本時空工学研究所の香月所長から一人預かっている。挨拶してもらおうか。」
藤島が喋り終えたときドアが開く。
「おおっ。」
メンバーは一斉に声をあげた。
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