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冬の嵐④
電子ヘリが、海西ポートの空上を高く舞い上がる。
その瞬間、かなり大きな振動がきた。
「おいおい、中野どうなってんだ!大丈夫か?」
上願が大声で怒鳴る。
「大丈夫ですよ。上願さん。そんなに怒鳴らなくても、中野君はちゃんと読んでますから。」
折口はパソコンのキーを叩きながら無表情で答えた。
「なんだと貴様、捜査官はな現場をみるんだよ。わかったか‥‥」
上願は言いかけて、折口のパソコンを眺める。
そこには海西シティーから中央シティーに潜入するまでの裏ルートがはっきりと示されていた。
「見事だ。折口、お前なかなか食えねー奴だな。」
折口は答えず黙々とキーを打ち続けている。
「中野君、ヘリの状況はどう?」
夕子が操縦席をオートにして手が空いてる中野に声をかける。
「すいません、しょっぱなからスピードアップしすぎました。もう大丈夫です。うまくいったから今度先輩の水着姿、写真撮らせてもらえますか?」
中野がにやけて答える。
夕子の鉄拳が跳ぶが、中野の顔面寸前で止まる。
「うわぁー」
中野はびびった声を上げる。
「いいわ。この任務を成功させて一人前になったらね。」
夕子の視線が中野を刺す。
「わかりましたよ。」
‥中野良平、軽そうだけど、この中で一番まともかもしれない。
上願も折口も今一つわからない。彼らには一筋縄でいかない何かを感じる。‥
加賀見はあとの防衛局のヘリで合流するので、それまでは私一人でやらなきゃ‥
考えごとをしてるうちに電子ヘリは折口が探り当てた中央シティーの裏ロードの入り口に到達しつつあった。
‥涼、あなたは生きてるのかしら?
わたしを育ててくれた父と母は?
あれから大災厄ビッグウォールから10年、
ほんとに中央シティーは今もあるの?
夕子はヘリから見下ろすと黄色い光の壁がこちらに迫ってくるかのように感じた。
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