47人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
私は高橋澪。昨年、大学を卒業して現在は中堅の商社に勤めている。
私は母子家庭で育った。父は私が六歳の時に浮気相手と失踪してしまい、母の百合は直ぐに再婚したものの、その二回目の結婚も二年しか持たなかったからだ。
そんな母は女手一つで大変な苦労をして私を大学まで卒業させてくれた。
だから私は他の女と失踪して、母にこんなにも苦労を強いた父を絶対に許せなかった。
今では考える事も嫌になるほど父が大嫌いになっていた。
私は自分の部屋で身支度を整えると階下に降りた。台所で母が朝食の準備をしている。
「お母さん、おはよう。ゴメン、今日は私の当番だったわね」
台所から顔を上げ母がニッコリと笑った
「いいわよ。その代わり明日はお願いね」
私は大きく頷くと母を手伝って朝食の準備を整えた。
「澪、大翔君とは結婚するつもり?」
朝食を食べながら母が私に聞いて来た。
私は少しだけ首を傾げた。
「うーん、私はそのつもりだけど・・彼はどうだろう・・? それにお母さんの経験を踏まえると、あまり性急に決めるのは良くない・・?」
「そんなことないわ。澪、これは貴女の人生だから自分で決めなさい。それが一番幸せの筈よ・・」
「うん、お母さん。ありがとう」
最初のコメントを投稿しよう!