1.大嫌いなお父さん

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それから結婚式までは、目が廻る程の忙しさだった。 大翔(ひろと)は直ぐに私の母に挨拶に来た。 「お母さん。貴女が(みお)さんに注いだ愛情に負けない様に、僕は(みお)さんを絶対に幸せにするつもりです」 こう大翔(ひろと)が言った所で母の涙腺は崩壊した。 「お母さんが女手一人で(みお)さんを育ててくれたこと本当に感謝しています。(みお)さんは素晴らしい女性です。僕は彼女を妻に出来る事を本当に誇りに思っています。(みお)さんとの結婚をお許し頂けますか?」 母は泣きながら大きく何度も頷いていた。私は母を抱きしめると一緒に大泣きした。 本当に幸せな瞬間だった。 大翔(ひろと)のご両親とは母と一緒の食事会で初めて会った。 本当は沖縄のご実家のに挨拶に行く行くべきだったが、私達の時間が取れないのと私が飛行機が苦手なこともあって、東京に出てきて貰い食事会でご挨拶することになったんだ。 お二人共とても尊敬できる方で、この両親のお陰で大翔(ひろと)が素晴らし男性に育ったんだと感じることが出来た。 母は最後まで自分が片親だということを心配していたが、大翔(ひろと)のお母様が言った言葉で、その心配は吹っ飛んだ。 「私は片親でも立派に育った子供達をたくさん知っています。片親であることは(みお)さんがどんな女性なのかとは全く関係ありません。でも片親での子育ては並大抵の苦労でなかったと思います。それなのに(みお)さんを“こんな”素晴らしい女性に育て上げた高橋さんを尊敬しますし、そして(みお)さんの様な女性を選んだ息子を誇りに思います」 その食事会の場で母は再び大粒の涙を浮かべていた。 そして私もこんな両親に育てて貰った大翔(ひろと)と結婚出来ることを本当に誇り思っていた。
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