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それから結婚式までは、目が廻る程の忙しさだった。
大翔は直ぐに私の母に挨拶に来た。
「お母さん。貴女が澪さんに注いだ愛情に負けない様に、僕は澪さんを絶対に幸せにするつもりです」
こう大翔が言った所で母の涙腺は崩壊した。
「お母さんが女手一人で澪さんを育ててくれたこと本当に感謝しています。澪さんは素晴らしい女性です。僕は彼女を妻に出来る事を本当に誇りに思っています。澪さんとの結婚をお許し頂けますか?」
母は泣きながら大きく何度も頷いていた。私は母を抱きしめると一緒に大泣きした。
本当に幸せな瞬間だった。
大翔のご両親とは母と一緒の食事会で初めて会った。
本当は沖縄のご実家のに挨拶に行く行くべきだったが、私達の時間が取れないのと私が飛行機が苦手なこともあって、東京に出てきて貰い食事会でご挨拶することになったんだ。
お二人共とても尊敬できる方で、この両親のお陰で大翔が素晴らし男性に育ったんだと感じることが出来た。
母は最後まで自分が片親だということを心配していたが、大翔のお母様が言った言葉で、その心配は吹っ飛んだ。
「私は片親でも立派に育った子供達をたくさん知っています。片親であることは澪さんがどんな女性なのかとは全く関係ありません。でも片親での子育ては並大抵の苦労でなかったと思います。それなのに澪さんを“こんな”素晴らしい女性に育て上げた高橋さんを尊敬しますし、そして澪さんの様な女性を選んだ息子を誇りに思います」
その食事会の場で母は再び大粒の涙を浮かべていた。
そして私もこんな両親に育てて貰った大翔と結婚出来ることを本当に誇り思っていた。
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