47人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「大翔、待っていたわ。入って」
私は玄関で彼を迎えるとダイニングへ案内した。
大翔の顔を見て、母が嬉しそうに微笑む。
彼もテーブルの上に広げられた夕食を見て声を上げた。
「凄いな! 美味しそうだ。ありがとうございます!」
大翔は嬉しそうにテーブルに腰を降ろした。直ぐに母が彼にビールを注いだ。
いつも私達は二人きりで夕食を食べるから、夕食に大翔が加わるだけでも、とても賑やかに感じる。特にビールを呑んでご機嫌になった大翔はいつも楽しそうに私や母と話すから、その賑やかさが一層際立っていた。
夕食後、大翔は私の部屋を訪れた。
少し話していると彼は本棚から古いアルバムを見つけた。
「これ見てもいい?」
彼はそう言いながら、もうアルバムを本棚から取り出している。
「ダメって言ったて見るんでしょ? いいわよ。でも私の小さい頃の写真は少ないわよ。父の顔が写っていたのは全て捨てたから」
「そうなんだ。へえー、可愛いじゃん。お母さんも凄く若い」
彼が見ていたのは、母に抱かれた生まれて数ヶ月の私だった。
「あっー、裸だ。これは他の奴に見せたくないな」
それは私が三歳くらいの時のお風呂に入っている写真だった。
「ちょっと見ないでよ!」
私は慌てて写真を手で隠そうとした。
「この後ろに居るのが、お父さん?」
お風呂に入っている私は、男の人の両手に抱かれていた。その人の顔はフレームの外に切れていたので、肩より下しか写っていなかったが、ガッシリとした逞しい身体だ。
最初のコメントを投稿しよう!