1.大嫌いなお父さん

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「そう、多分、このアルバムで唯一、父が写っている写真かな・・。顔は無いけどね・・」 「フーン、(みお)、とても嬉しそうだね。お父さんの事、大好きなんだ」 私はとんでもないと首を大きく左右に振った。 「お父さんなんて大嫌いって言ったでしょう。思い出したくも無いの」 「でも、この(みお)は大好き、嬉しいって顔してるけどね・・」 私は自分(その子)の表情を見て、今とは全く違う父への想いを持っていた事に気付いて驚いていた。でも・・。 「でも・・私は父の事が大嫌い・・」 私がそう呟いていると、大翔(ひろと)が怪訝そうにアルバムの最終ページを捲って、その台紙を見ている。 「大翔(ひろと)、どうしたの?」 「いや、ここ台紙が貼り付いているからさ・・。ほら!」 そう言って大翔(ひろと)は貼り付いた台紙を剥がし、そのページを広げた。そこには十二枚の忘れ去られていた写真が在った。その内、四枚は私と一緒に父が写ってるいる。 それを見て、もう二十年近く忘れていた父との記憶が蘇って来た。 『パパ! 大好き!』 写真の中の私がそう父に言う声が聞こえて来た。 「・・えっ?」不意に私の目蓋(まぶた)から涙が溢れて来た。 「どうしたんだい? (みお)? 泣いているの?」 私は後ろを向いて彼に言った。 「ううん、何でも無いよ・・」
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