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気が付くと、私は駅からの道を走っていた。
その先は何度も来たことがあったおじいちゃんの家。そこにパパが居るんだ。
おじいちゃんの家の前にパパが立っているのが見える。
「パパ!」
パパの驚いた顔が見える。
「澪? どうやってここに?」
私は両手を広げているパパの胸に飛び込んだ。パパが私を抱き上げてくれる。
「私は大好きなパパと居るの! ママと新しいパパは嫌い!」
私がおじいちゃんの家でウトウトしているとパパの話し声が聞こえる。
「もしもし、百合。ああ、澪は一人で新幹線に乗って来たみたいだ。六歳とは思えない行動力だな・・。ああ、分かっている。直ぐに東京に連れて帰るよ。明日の福岡からのフライトを予約した」
電話を終えると父は私の横に座って頭を撫でてくれている。
「澪、ごめんな。パパは海外の仕事が有って、お前を育てられないんだ。ママと新しいパパと・・幸せにな・・」
私の顔に冷たい雫が何度も落ちて来た。
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