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1.大嫌いなお父さん
私が気付くとそこは森の中だった。私を抱きしめる人の背後にたくさんの木々が茂っており、葉っぱの間から木漏れ日が見える。
周りはとても静かで、聞こえるのは風が木々を揺らす音だけだ。
そこに突然、バリバリという騒音と物凄い風が吹いたと思うと、沢山の人達の足音と声が聴こえて来た。
「あそこに二人居るぞ!」
「女の子はまだ息がある! でも腹部に怪我をしている!」
突然、知らない人が私を覗き込んだ。
「もう大丈夫だからね・・」
その人は私を持ち上げ様としている・・。
私は叫んでいた。
「ダメ! ・・離しちゃ嫌だ!」
私を抱き上げようとしたその男性は優しい眼差しを私に向けた。
「大丈夫、一緒連れて行くから安心して」
私は大きく頷いていた・・。
私はハッとして目を覚ました。そしてベッドから起き上がると先程見た夢を反芻していた。
また“いつも”の夢だ。でもそれは私の記憶に無い内容だった。何故、こんな夢を度々見るのか・・? 私は理解出来ないでいた。
でも、その夢で私を抱き締める大きな両腕をとても愛おしく感じている・・。
あれは、誰なんだろう・・?
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