食べる時間

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吹奏楽部の最後の練習を終えて僕が帰宅しようとしたとき、明里から声をかけられた。 「先輩、少し話があるんですけど…」 いったい何だろうと思いながら、僕は明里の誘導で校舎の隅の目立たないところに行った。 明里は緊張した面持ちで話し始めた。 「先輩、私とお付き合いしてください。」 思わぬ出来事に嬉しい気持ちもあったけれど、疑問が沸き上がってきた。 僕が少し悩んで言葉につまっていると、明里が申し訳なさそうに話してきた。 「以前、先輩から付き合ってほしいと言われたとき、断ってしまってごめんなさい。  あの後、先輩がダイエットして痩せていく姿を見て、私考えたんです。」 「何を考えたの?」 僕が率直に質問すると明里は、 「私が『太っている人はちょっと…』と言ったことで、先輩は私のためにダイエットしたのかと思って…」 僕は本当の気持ちを伝えたほうが良いと思って、正直に話をすることにした。 「明里のためにダイエットしたんじゃないよ!  きっかけは明里から言われたことだけど、明里に気に入られようと思ってダイエットしたわけではないよ!」 明里はショックを受けたような表情をしていた。 僕は少し悩んでから正直に答えた。 「明里、僕は大学に進学しようと考えていて、これから卒業までは受験勉強に集中したいんだ!  だから、今は明里と付き合えない。  ごめんね!」 明里の悲しそうな表情を見て僕も心が痛んだけれど、今はお付き合いするときではないと考えた。
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