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桜が指定の住所に車を横付けると、娘の美咲がアパートの玄関から現れた。
続いて、菜々と思われる女の子が姿を見せた。
でも、そんなにヤンチャじゃなさそうだ。
あれ?
もう一人、男の子、誰?
菜々ちゃんのお兄さんか?
家族は二人だけじゃなかったの?
親類?
最後に猫おじさんが顔を出した。
桜は、認知症になるには、まだ早いんじゃないかと首を捻りたくなった。
桜と同じ世代だった。
路上で、美咲とぎこちなく交流した。
三人を紹介された。
男の子は菜々と美咲の中学の先輩で、今は高一の西見叡だった。
菜々と猫おじさんには他に家族がいないので、自ら付き添いを買って出た。
高校は休んだと言う。
桜は違和感を禁じ得なかった。
あれ?
俺っちの高校の後輩だよ。
「お忘れ物はございませんか?」
「保険証とお財布は大丈夫でしょうか?」
病院への送迎は、そこの確認が肝なのだ。
「はい、大丈夫です」
菜々がバッグを覗いた。
桜の車は、美咲をその場に残して、三人を乗せて発車した。
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