「お前は二人分食べないと。」って、夫が私に言うんです。

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   * 「あー……充電、切れた……」  清子さんちから帰ってきて、しばらく家でも家事をして……とうとう、私の悪阻時限爆弾の爆発する時間がやってきた。  こうなると、もう当分は動けない。近くに置いてあった毛布をずるずる引きずって、居間のソファで丸くなる。  ここのお家は、清子さんの持ち物だ。  結婚してすぐ妊娠した私に清子さんは、自分の持ってる物件の空いたところを借りないか、と言ってくれた。 「その代わり、赤ちゃんが生まれたら見に行かせてね」  そんな事を言ってくれて、今も何かと気づかってくれる。  東京のお母さんみたい……って言うとご機嫌が怪しくなるから、言わないけど。 「私達の事は、『年上の友達』って呼んで頂戴。」  清子さんだけじゃなく麻さんにも、何度も、念を押されてる。  二人の口調と表情を思い出してちょっと笑ったら、少しだけ気分が持ち直した。   
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