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「奈未さん。」
俺に呼ばれて、奈未さんはハッとしたように肩をすくめて、ゆっくりこちらの方を向いた。
「あれ、誠くん、早いね。」
「奈未さんこそ。」
「……今日は、たまたま暇だったの。」
嘘だ。流石に俺にもそれはわかった。
「もうすぐ夏も終わりますね。あーあ、学校始まるの嫌だなぁ。」
「そう、だね。」
奈未さんは、なおも川面を眺めている。
何かを思案しているのか、それとも決断しかねているのか。そんな様子だった。
「あ、そうだ。」
奈未さんが、こちらへ向き直った。
ふと思いついて言ったような素振りを見せたが、きっと考えた末の切り出しだ、と俺は気づいていた。
「昨日カレー作ったんだけど、作りすぎちゃって。……食べに来てくれない?」
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