健二

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健二

 セフレが結婚する。  俺にとってそれは、とてつもない大事件だった。  聞かされた瞬間、体の中に電流……は、走らなかったが、 なんだかどでかいカメラのフラッシュを、ガンガン浴びせられたみたいに 目の裏が明るくチカチカした。  あんまりにも驚いたんで、彼女がその話をし始めてからというもの、 俺はほとんど口を利くことが出来なかったし、話し終えた後も、 結局何を言われたのかあんまり理解出来なかったくらいだ。  そして、あんまり理解出来なかったまま、 俺はその時食べていた大好物、彼女ご自慢の手作りカレーを置き去りにして、 のこのこ自宅へ帰って来てしまった。  皿の中には、まだ三分の一ほど食べ掛けのカレーが残っていたが、 彼女は俺を引き留めなかったので、それを怒ったりすることは きっとないだろう。
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