はじめまして

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 これが昨日の少し、いやかなり奇妙な話だ。  そして放課後の今、僕は旧図書室の前にいる。  もしかしたら女子生徒に会えるかもしれない。会えたらお礼をするのと、聞きたいことがいくつかある。  何故だろう、すごく緊張してきた。僕は静かに深呼吸をして、扉に手を掛けた。  ブラインドのかかったその扉を開けると、ひとりの女子生徒が窓の外を見ていた。肩より短い栗色の髪が、陽の光に当たって宝石のようにキラキラと輝いていた。  まさか、本当に会えるなんて。  振り返った彼女の顔は透き通るように白く、そのせいで黒鳶(くろとび)色の双眼と薄紅色の唇がやけに目立って見えた。  一言で言えば、その人はとても美しかった。
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