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鴉はある国の国王の護衛長として日々を誇らしく過ごしていたが、 ある日、国王から王命を承ってからそれが難題過ぎて頭を抱えている。 王命とは、国王は息子、いわゆる王子を最近追放したのだが、やはり心配で私に見守って欲しい。そして時には助けてやって欲しいとの命だ。 意味が分からなかった。 あんな、わがままでいい加減で癇癪持ちの王子を見守れ?助けろ?国王直属護衛長の私が? 横暴にもほどがある。 王が余りにも頭を下げるから仕方なくついて行くが、案の定行く先々で躓いている。 それ見た事か。そのまま野垂れ死んでしまえばいい。 だが王子は色々な国で挫折を繰り返すが、同時に少しずつ成長をしていった。 それに今度は、ある国を再生させようとしている。 滑稽だった。笑い種だった。 あの王子が? だが王子は頑張る。毎日毎日馬鹿の一つ覚えのように。 そして国は栄え王を据えるが王子はまた旅に出るみたいだ。 変わったヤツだ。 旅が終わる頃王子は年老い死ぬ直前だった。 そんなある日、王子が一言呟いた。 「皆は大丈夫だろうか。」と。 見てられなかった。死ぬ直前も人の心配をするなんて…あのわがままな王子が。 鴉は飛んだ。体が勝手に動いた。 同時に焦っていた。時間がないと。 王子と同じ時を過ごした鴉もまた年老いていたのだった。 鴉は今ある力を振り絞り、今まで回った48国全てを回り王子の死が近い事を伝え回った。 皆が集まった時、王子は笑顔で静かにいった。 本当に変わった王子だ。 鴉も同様に役目を終えたように、微笑みながら静かに眠った。
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