episode258 Lavender

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温かいラベンダーティーのカップが僕の手に渡った時。 「おまえはポットの中身の方がいいんじゃないのか?」 嫌味にしてはあまりにもサラリと征司が言った。 僕は否定も肯定もせず老執事の秘密兵器を一先ず口に運んだ。 「こんなことになる前にどうして相談しなかったんだ?」 次は九条さんだ。 今更ながら良識人の九条敬がもっともらしく問いかける。 『自分だけを愛してると言ったくせにどうして――?』 純粋なものは僕の頭の中で 自分勝手に不純なものへと形を変える。 「……分かんない」 「分からない?それがお前の答えか?」 ただ首を傾げる僕に苛立たし気に征司が言葉を重ねた。 「分からないなら説明してやる」 しびれを切らしたように口を開いたのは薫だ。
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