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「おまえは夜毎外に出て花を食ってた。ストレスの出どころなんか――俺は知っちゃいないが、とにかく和樹はここんとこ毎晩のように庭で花を食ってたんだ」
九条さんは青ざめて細い息を洩らし。
中川に至っては今にも泣き出しそうな顔で僕を見ている。
だけど――ここまではまだ序の口さ。
「それを知った誰かさんが――どさくさに紛れて和樹に鈴蘭の毒を食べさせた。いなくなった日の夜だ。間違いない。だろ?」
話を振られた誰かさんはといえば――。
まるきり興味ない顔でネイルの小さな飾りを見つめていたが。
「ちょっと、何よその目?」
それでも皆の視点が一点
おのれに集まっていることに気づいてはいるようで。
「私は今の今まで何も知らなかったのよ。あんたたちみたいにこれと仲良くないから」
言うけれど――。
「鈴蘭毒はおまえの十八番だろ?」
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