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「それでお兄様たちは僕を捜してる?」
「ああ、そりゃもう。僕が関わってると知られたら殺されそうなくらいにね」
シーツの波をなぞる僕の指を
椎名さんがそっと掴んだ。
「やっぱり君が言うことが正しかった」
「え?」
「天宮の屋敷で2人揃って会ったんだ」
「征司と九条さん?」
椎名さんは頷く代わりに僕の頭を一つ撫でる。
「彼らね、君が好き放題やっているの知ってた」
「……というと?」
「両方に愛してるといったろ?それで九条さんは家を出た。君としては両方上手く手中に収めているつもりだったよね?でもあの2人が君如きに出し抜かれる間抜けじゃないことにもうすうす勘づいてはいた。それで君、ぽろっと僕に零したじゃないか?あの2人、本当は知ってて気づいてないフリしてるんじゃないかって」
「そんな事言ったかしら……?」
矢継ぎ早に放たれる言葉を
今は追いかけて捕まえるのが精いっぱいだった。
「ああ。彼らは気づいてた。そして本当は君もそれに気づいてた」
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