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その問いかけは僕を責めているわけではなかった。
しかし自ずと分かっていた。
あの2人が僕より愛に対して繊細だってことは――。
僕にはまだ病むだけの力がある。
あの人たちにはそんな力さえ残されてはいない。
「オーケー。それじゃ今2人はどうしているの?」
「だから血眼になって君を捜してんのさ」
「僕が鈴蘭の毒を食らったことは?」
椎名さんは肯定とも否定ともつかぬ不明瞭な形で首を振る。
「実は僕が天宮の屋敷に立ち寄った時、薫くんが庭から拾って来たんだよ、荒らされた鈴蘭の束を」
「それで?」
「『貴恵が和樹を殺した!』って。騒ぎ出したからもう大変さ」
その状況は想像するに難くなかった。
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