入学と、衝突と、友達と

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フェイは大講義室に入って、さっそく困っていた。 入学初日は、まだクラスが決まっておらず、まず大講義室で新入生に対してガイダンスが行われることになっていた。ここで、これからの流れや規則など基本的なことを知るわけだ。 総勢百二十の新入生たちは、ぞろぞろと大講義室に入り、巨大な黒板に貼られた各自指定された席を確認して、着席していく。 その際、黒板に貼られる紙はたった一枚。百人以上の人数に対して一枚は明らかに少ない。よって、黒板の前で大混雑が必然的に起きてしまうわけで。 フェイは混雑に上手く割り込めず、自分の割り当てられた席がどこなのか確認することができなかった。望遠魔法を使用しようにも人混みで紙が隠れているし、宙に浮いて上から見る手も目立つからやりたくない。 どうしたものかと大講義室の後ろで一人考えあぐねていると、さっき友達になったラニシアが悠然とした足取りで大講義室に入ってきた。 それと同時に、大講義室の空気が変わる。新入生全員が、ラニシアを見るや否や、私語を慎み、黒板前の人混みが彼女に道を示すように開けていく。 「どういうこと?」 とフェイは、首を傾げた。すると、隣にいた男子が親切に声をかけてくれる。 「君、もしかしてラニシア・ラングウェイを知らないのかい?」 フェイは声をかけてくれた男子の方を見る。柔らかな笑みと物腰柔らかそうな金髪の美男子が、意外そうな顔をしてフェイの顔を覗き込んでいた。 「知っているよ。さっき友達になった」 「友達って、自己紹介して握手しただけじゃないのかい?」 「そうだよ。だから、友達になったんだ」 そうフェイが答えると、彼は少し目を丸くしてから、おかしそうに笑う。 「面白いね、君」 「うん? 俺、なんか変なこと言ったか?」 「まあね」と彼はまだおかしそうに笑って、それからまた最初の微笑みに戻る。「でも、彼女がいったいどんな人かは知らないだろう?」 「そうだね。知り合ってばかりだから」 「素直でいいね」と彼はフェイにはよくわからないところで誉め言葉を使った。「彼女は、伝説の騎士ラングウェイの血族、王国最強の軍事力であり、勝利の女神であるとでも言ったらいいかな」 「へぇ、じゃあ、強いんだ」と、フェイは何でもなさそうに答える。 「あははは、やっぱ面白いね」
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