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「あれ? あの三人は?」
フェイが大講義室をキョロキョロと見回すが、その三人は見つからない。
「あの三人って、さっきあなたをいじめていた?」
「いじめられてはないけど、その三人だよ」とフェイはラニシアの発言にちょっと不服そうに答える。
「まあ、いいんじゃないかな。来ないのは、彼らの勝手だからね」
「うーん、いや、ちょっと探してくる」
フェイはそう言って席を立つ。
「ちょっ、もう始まる……」とラニシアが言おうとするが、もう遅い。
フェイは俊敏に駆けていき、あっという間に大講義室から出ていってしまっていた。
「話を聞きなさーいっ!」
「あはは、フェイは飽きさせないねぇ」と面白そうにユディは言う。
「ちょっと、ユーディアス。彼を止めなくてよかったの⁉」
「よかったんじゃないかな?」とユディは無責任なことを言う。「でも、勢いで行っちゃったけど、当てはあるのかなぁ?」
「はあー。しょうがないわね。私たちも行きましょう」
「手分けして探して、すぐに見つからないなら、大講義室に戻る。それでいいかい? 入れ違いになる可能性もあるからね」
「追跡魔法とか……剣聖にはさすがにないわよね」
「ないない。君も僕も純粋な武闘派だからね。それに、騎士道精神では、弱者を見捨てないだっけ? どうにも君は乗る気じゃないように見えるけど、騎士道精神云々は嘘だったのかい?」
「……一回、あなたとは白黒はっきりさせておかないといけなさそうね」
「今は、そういうのは後回しね」
「わかってるわよ!」
そうして、なんやら騒ぎが大きくなっていく。
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