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フェイは廊下を走りながら、探知魔法を展開する。彼らの固有存在感は初見で把握している。見つけるのは、簡単だった。
彼らは校舎裏。今、フェイは三階にいる。最短は……。
「こっから!」と言って、廊下の窓を開け放つ。枠に足をかけて、乗り出して。「飛び降りるっ‼」
自由落下で、フェイは彼らのいる校舎裏まで落ちていく。そして、三人と男の間に着地した。
「なっ……!」とラギは急に落ちてきた人に驚いた。
「おっ、いた」
フェイは三人の発見に嬉しそうにした。
でも、一歩近づいたところで、異変に気付いた。
「え? どうしたの、三人とも……」
もうポールとケトルは男にやられて気絶していて、ラギも息絶え絶えで片膝をついてなんとかなっているような状態だった。
「……るせぇ」
「誰にやられた?」
「……ざけんな、てめぇ」
「あ、確かにお腹を殴ったのは、ごめん。でも、その怪我、それだけじゃないよね?」
睨みつけるラギと心配するフェイ。それで、意思疎通ができるはずがない。
が、フェイは男の方に向き直る。
「お、やっとこっち向いたか」と男は妙に嬉しそうに言った。「上から降ってきたのはちと驚いたが、まあ不良の仲間は不良ってことでいいんだよな?」
「うん? 誰が不良だって?」
フェイは、今までになく平坦な声で問う。
「あん? 違うのか? そこに転がっている奴らは不良で、その不良を心配する奴ぁ、つまり不良ってことじゃねぇの?」
「俺の友達だ」
「じゃあ、不良じゃねぇか」
「違う!」とフェイは怒り叫ぶ。「不良なんかじゃない! 俺の友達だ!」
「ははっ、なんだそりゃ。全然わかん……っ⁉」
フェイの拳が男の目の前まで接近する。
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