0 舞台袖

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 フードコート内は、平日だからか人がまだ(まば)らだった。二人くらい余裕で座れる。注文した時に渡された小さなブザーが呼び出し音を告げると、今度はそれぞれ注文した品物と交換となる。 「あのさ、うちって前に彼氏いたじゃない?」  げほっ。  再び席に戻り、啜り始めたうどんがどうやらおかしな器官に入った。急な話の導入、そして全く先が読めない展開。ただ、少し雲行きが怪しいのはそれとなく察した。 「そう聞いてたけど……どうかしたの?」  初めて聞く話では無いけれど、何故今になってその話をするのかとやんわりと尋ねてみる。なにせ、その元カレと別れてから少なくとも一年は経過しているはずだからだ。関係が終わった後、特に真新しい話もしていなかったから話にすれ違いは生じていないと思う。     この人は恋人ができたとなると非常にわかりやすい人らしいから。   「そいつが結構の遊び人でさ。うちは全然気にしてなかったし、むしろ許してたんだけど。こっちがそれこそ委員会の仕事で教授とか男子と話すとすっごく怒ってきてたんだよね」 「へえ」  いや本当に。なんだいきなり。  別れてすぐの段階の時も同じ話をきいています、とはさすがに言わないでおいたのは私なりの優しさだ。
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