7 カーテンコール

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 凜がスマートフォンの画面を確認する。ホーム画面と時刻が表示されたと思うけど、瞬時に暗くなった。 「だいじょぶ?」  購買を出た後に、凜が首を傾げて聞いてくる。リュックの中でカラカラと小さくガムがぶつかる音がした。私は大きく頷いて、話そうとしたのだが。 「ど、どっから話せばいい?」  自分のことながら、情報量が多すぎる。取っ掛りを探せなかった。凜はこの質問に「んー」と軽めの唸りを上げる。 「紫が話せそうなとこからでいいけど。順番的には、留守電あたりから? そのあとどうなったか聞いてないと思う」  てくてく教室に向かいつつ、口を動かし始める。 もはや話すと言うより吐露と表現した方がしっくりした。  教室の前で浅草さんと女の子たちに会ったこと。  次に白崎さんに会ったこと。  プリントを貰ったこと。  話しているうちにしんどくなって、トイレに駆け込んだこと。 「そしたら、白崎さんから鬼電かかってきて」 「ええっ」  予想外だったのか、凜の目がこちらが驚くほどまん丸になった。 「白崎さんでも鬼電するんだ。人って分からんもんだね」 「ほんとにね」  さて、本題はここからだ。 「それで、その」  うわ。まずい。いきなり喋りにもったり湿気が帯びてきた。気のせいかもしれないが、歩く速度ものろのろしてくる。すうっと密かに息を吸い込んで、続きを話した。  場繋ぎ程度に雑談をしたこと。  それから。  ……それから。 「白崎さんの前で思いきり泣いたの申し訳なさすぎるし、面倒くさすぎると思って」 「別に面倒ではないでしょ」 「泣く女は面倒くさいってネットで言ってた」 「なんでそのタイミングでそんなの見たの? やめなマジで」  メンタルが腐ってる時にネットサーフィンするものじゃない。身をもって痛感した。嫌な話題ばかり目につく。 「なんか言いたそうにしてたのに、聞きたくなくて。今更すぎだけどね」 「まあ言いたくなるわね、たぶんすごい誤解してる予感がするから」  
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