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高校の入学式に、クラス分けを見て驚いた。
同じクラスになったのは、中学の時に成績が良かった中村くんだったからだ。
どうやら、入試の点数で分けられたらしい。
そして私は、たまたま点数が良かったようだ。
ただでさえ、同じ中学校出身の人が少なくて気後れするというのに、そのクラスは、学年のトップだった。そんな中で一発花火の私がついて行けるわけもない。早々に落ちこぼれた。
そのクラスは、基本的に部活動は禁止だった。私は禁止でなくても、入る余裕など無い。それで放課後は図書室に寄って、課題をこなすようになった。部活動が終わる頃に下校すれば、同じ中学だった人たちと電車の中で話ができる。そう思っていた。
同じ中学出身の美咲ちゃんは、テニス部に入った。
「はあ。1年生なんて、ランニングして球拾いばっかりだよ」
運動神経のいい美咲ちゃんは、めきめきと上達していった。
電車の中で、美咲ちゃんは試合のおもしろさを語ってくれた。
私は、そんな話を聞いているだけで楽しかった。
でもある日、聞いてしまった。美咲ちゃんが友達に話していたのだ。
「唯ちゃんて、テニスのこと知らないから、話してても反応が薄いんだよね。それに特進クラスだもん。私らとは違いますって感じだよね」
そんな風に思っていたなんて、知らなかった。
確かに運動が苦手で、テニスのことはさっぱりわからない。それは申し訳ないと思う。
けれど、クラスのことを鼻にかけたことなど無かったのに。
得意になんか、なれるはずがないのだ。それは悲しかった。
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