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教室のドアを開けるのが、だんだん辛くなってきた。
だけど、わかっていた。
1日でも休めば、このクラスの授業にはついていけなくなる。
そして、学校に来たくなくなる。
私は予習復習を欠かさなかった。それでも、テストの点数は赤点ぎりぎりだった。
図書室からグラウンドが見えた。
勉強に疲れると、窓の外を眺めた。
陸上部や野球部、ハンドボール部など、活動する人たちがひしめいていた。
一応グラウンドは、部ごとに分けられているらしい。
窓のそばで練習しているのは、サッカー部だった。
もちろん、サッカーのルールなどわからない。それでも、ゴールにシュートすれば、得点になることぐらいはわかる。
鮮やかなドリブル、つながるパスワーク、そしてど真ん中にシュート!……そのはずが、すこっとこけたりする。
そんな場面を目にして、思わず、小さく笑ってしまうこともあった。
あ……。
今、私、笑ってた。
そんな小さなことが嬉しかった。
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