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20 イカ
金田一
「はい、お次は誰かな」
司会
「あ、また魚介類です。イカですね。ではイカさんどうぞお入り下さい」
イカ
「はい、失礼します」
司会
「イカさん、やはり鯖さんや鰯さんとは仲良しなんですか?」
イカ
「はい、今日も皆さんと魚屋さんから一緒のバンで来ました」
司会
「そうですか。それでは早速提訴に入ってください。変えたいことわざは何でしょうか?」
イカ
「はい、当然『イカのキンタマ』です」
司会
「そうですよね。実は当委員会でも、もしイカさんから参加希望がなかった場合はこちらから連絡して継続意志の有無を確認したいと思っていたほどのことわざでした」
イカ
「そうなんですか。まあ、普通に考えてあまりに酷いですね。よりによってキンタマって・・・我々だけですよ生殖器とセットにされていることわざは」
司会
「お気持ちはよーくお察しします。一般には『思ったように上手くいかない』ことの例えですがイカさん今回はこれをどうしたいですか?」
イカ
「はい、この百年でテレビなんかでは教育によくない言葉は放送禁止用語として『ピー』の音声が入るようになりました」
司会
「そうですね。各地の教育委員会の圧力が成した成果ですね」
イカ
「地方では『イカのキンタマ』をかわいく『イカのおちんちん』という所もありますが、可愛いく言ってもやはり『ピー』で消されてしまいます」
司会
「小さい子供に対する性用語使用は放送局側の配慮ですね」
イカ
「しかしこのことわざを知らない子供たちは『イカのピー』って何だかサッパリわからないですよね。これって結局教育になってないと思いますが」
司会
「そうですね放送局の過剰な反応ですね。それでは金田一先生よろしくお願いします。」
金田一
「はい、わかりました。江戸時代、このことわざは『そううまくはイカの金玉』と言っていました。イカさんの名前に「うまくイカない」を引っ掛けたのです」
イカ
「そこまではいいんです。むしろ人間のことわざに使われてありがたく思っていました」
金田一
「金玉とは墨を吹き出す墨汁嚢のことでコリコリとした骨格質の咀嚼器をさしましす。これを江戸っ子は金玉だと思っていたそうです」
司会
「え!ということは我々人間の勘違いなんですか?」
金田一
「はい、全くの勘違いです。しかもこの部位は結構珍味で美味いとされていました。
また、当時、流行った川柳に「金玉も入れなと女房イカを買い」なんて粋な川柳もできたくらいです」
司会
「江戸時代は本当に性に対しておおらかだったんですね」
イカ
「そうなんです、現代社会は会社内でも少しエッチな言葉を言っただけで女性社員から『セクハラ』で訴えられるとお聞きしています」
金田一
「たしかに異常にギスギスした社会になりました。つまりイカさんの提訴は『ピー』で消されないことわざへのチェンジですね」
イカ
「はい、ズバリそうなんです。何か妙案はありますか?」
金田一
「では意味を変えずに明日からは洋風に『イカのペニンシュラ』でいきましょう」
司会
「あ、なんかいきなり格好良くなりましたね。『そうはイカのペニンシュラ』ですか。ゴロも完璧です。流石は先生」
イカ
「いいですね!むしろ他の動物から嫉妬されそうなことわざですね。しかし肝心な『ピー』対策は大丈夫ですか?」
金田一
「あ、大丈夫ですよ。今でもペニンシュラを縮めたペニスでも「ピー」は鳴っていませんからご安心下さい」
イカ
「いやー、提訴に踏み切ったかいがありました。ありがとうございます」
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