雲も霞も

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 普段はしっかりものの後輩なのに、私のことになるとちょっとだけポンコツになっちゃう美雨の姿を見て、キュンとなるのは仕方のないことだった。  個室居酒屋で告白しようと思うのがなんか可愛いななんて思ってしまう。  あの日のことを思い出しながら、買ってはいたものの着る機会のなかった浴衣を久しぶりに自分で着てみた。  一目惚れしたちょっとだけ派手目の色合いの、桜と猫の模様。 「浴衣着て行くね」  と笑いかけるとボッと顔を赤くして。  そんな顔見ちゃうと張り切っちゃうじゃない。  ただ、付き合うことになったあの日から、私は美雨への恋心をわからないでいる。  好きと言われたら悪い気はしないし、美雨からの好意はとても嬉しい、居心地のいい空気も感じる。  だから多分、好きなのには変わりないんだけど。  好きだよと口にするたび、空気のような軽いものを感じて申し訳なくなるんだ。  おそらく、好意を寄せられていることに舞い上がってる。そして美雨と私との想いの差が大きいんじゃないかな、と自分では思うんだけど……。
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