夏祭り

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「でもどうしても届かなくて。叶わない夢だったのかなって」 「……でも今、叶ったね」 「夢を見続けたら叶うんだなぁって思いました、めっちゃ美味しいですねこの雲!」  2人ぶんの口の形に欠けた雲を青空にかかげるとなんだか幸せの色で輝いているように見えた。 「こうやって、一緒に夢を叶えてくれる人に出会いたかったんです」  そして、さっきよりもちょっとだけ熱くなった私よりふにふにとした小さな手で、私の骨ばった手を握られた。 「詩帆先輩に、2つも夢を叶えてもらっちゃいました」  そうしてキラキラとした顔で笑うから。  告白された時の顔、今まで一緒にご飯しに行った時の顔、仕事中の顔、一緒に帰れた時の別れ際の顔、いろんな顔がブワッと浮かんだ。  そして私は引き寄せられるように、美雨の唇に触れた。  初めてのキス。  雲の甘い味がした。  ……なんだ、私だいぶ美雨のこと好きになってるじゃないの。鈍感。
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