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お色直しの間、私は雅司の部屋に招かれた。
そこで雅司は真実を打ち明けた。
でも、そこで彼の本当の姿に唖然となるしかなかった。
「僕は君を許すよ…………なぁんて本気で言うと思ったか。このアバズレが」
雅司の表情が突然、豹変した。
「僕が復讐しない男だとでも思ったか?そんな度胸もない男だと?本気でそう思っていたのなら、お前は人間というものを甘く見ている」
雅司は人を見下す眼差しを送りながら、私のことをバカにし、嘲笑った。
でも、今の私には絶句したまま、話に追いつくのに必死だった。
「あのハメ撮り動画を送られた時、僕は絶望を味わった。食には手をつけられず一度、死のうとまで思った。でも、ふと思ったんだ。そんな事したって、お前達は何も思わない。それよりもお前達に僕と同じ絶望を味わせる復讐を考えようと」
雅司の話を聞いてる内にある疑問が頭に過った。
目の前にいる男は本当に雅司なのか……
私の知る雅司は決して人の悪口を言わないし、バカにもしない優しい男だった。
それが今では、かつてのいじめっ子を散々に罵り、嘲笑い、大いにバカにしていた。
「僕がお見舞いに来た時の、アイツの顔は今でも忘れられない。高校時代、あれだけ恐れていた薮貴なのに今はその面影が全くなかった。寧ろ、可愛いって思った程だ。飼って一生、ペットとして飼いたいと思ったよ。それにしても楽しかったなぁ………一日中、アイツの顔にデコピンを食らわしてもビービーと泣くだけで反撃してこねーんだもん。しかし、あの男の滑稽な姿に満足してしまったお陰でお前への復讐が困難になった」
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