オカマの社長

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 時には好奇心からなんだろうが、社長は僕の借家で晩酌がしたいと言い出し、それに応えて僕が刺身を用意して待っていると約束通り来て、「刺身で一杯とは豪儀だという俗な価値観を捨てれば、野菜炒めで一杯の方がどれだけ豪儀か分からないわよ、今ちゃん!」とちょっと哲学的な事を言って僕の作った野菜炒めを肴に僕の晩酌に付き合う事が有ったし、僕が社長の店に訪れた際には必ず缶コーヒーを奢ってくれて偶に缶酎ハイを奢る事も有り、「帰りに飲酒運転になっちゃいますよ」と僕が言っても、「構わないじゃん、見つかりっこないじゃん」と言って僕に飲ます事も有ったし、酒の摘みや土産物を僕にくれる事も有ったし、僕が部品取りの車の部品を只でカニバリズムするのを許してくれる事も有ったし、夜遅くまで僕と一緒に僕の愛車を修理したりチューンアップしたりする事も有ったし、僕と車談議に花を咲かせる事も有った。
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